わ り 算 (除 法) の 不 思 議 ─ 「分 け る」 と 「い く つ あ る か」
小学校 算数 第4学年 A 数 と 計 算概 念 形 成 目安 25 分
学習のめあて
- わ り 算 の 二 つ の 意 味 (等 分 除・包 含 除) を 区 別 で き る
- 同 じ「12 ÷ 3」 で も、 文 脈 で 答 え の 「単 位」 が 違 う こ と を 理 解 す る
- 文 章 題 を「ど ち ら の わ り 算 か」 と 識 別 で き る
本文
わ り 算 (除 法) と は
わ り 算 は、 か け 算 の 逆 の 計 算 で あ る。
12 ÷ 3 = ?
→ こ れ は、 「12 と 3 の 間 に 何 を か け れ ば 12 に な る か」 を 求 め る こ と と 同 じ。
答 え は 4 (な ぜ な ら、 3 × 4 = 12)。
同 じ「12 ÷ 3」 で も、 二 つ の 意 味 が あ る
実 は、 「12 ÷ 3」 と い う 式 は、 全 く 違 う 二 つ の 場 面 で 出 て く る:
場 面 ①: 等 分 除 (と う ぶ ん じ ょ)
「12 個 の あ め を、 3 人 で 同 じ 数 ず つ 分 け る。 一 人 何 個?」
答 え: 一 人 4 個。
こ の 場 合、 答 え の 「単 位」 は 「個 / 人」。 「一 人 あ た り の あ め の 数」 を 求 め て い る。
場 面 ②: 包 含 除 (ほ う が ん じ ょ)
「12 個 の あ め を、 3 個 ず つ 袋 に 入 れ る。 何 袋 で き る?」
答 え: 4 袋。
こ の 場 合、 答 え の 「単 位」 は 「袋」。 「12 個 の 中 に 3 個 ず つ の グ ル ー プ が い く つ 含 ま れ て い る か」 を 求 め て い る。
計 算 は 同 じ、 意 味 は 違 う
両 方 の 場 面 で、 計 算 は 「12 ÷ 3 = 4」。 同 じ 式 で あ る。
だ が、 答 え の 意 味 は 全 く 違 う:
| 場 面 | 等 分 除 | 包 含 除 |
|---|---|---|
| 問 い | 「一 人 何 個?」 | 「何 袋?」 |
| 答 え | 4 個 / 人 | 4 袋 |
| 単 位 | 個 / 人 | 袋 (= 3 個 の グ ル ー プ) |
| イ メ ー ジ | 3 つ の お 皿 に 4 個 ず つ | 3 個 入 り の 袋 が 4 つ |
図 で 比 べ て み よ う
あ め 12 個 を、 ○ で 表 し て み よ う:
全 体: ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
等 分 除 (3 人 で 分 け る)
人 1: ○ ○ ○ ○ 人 2: ○ ○ ○ ○ 人 3: ○ ○ ○ ○ → 一 人 4 個
包 含 除 (3 個 ず つ 袋 詰 め)
袋 1: ○ ○ ○ 袋 2: ○ ○ ○ 袋 3: ○ ○ ○ 袋 4: ○ ○ ○ → 4 袋
こ の 二 つ は、 同 じ 個 数 12 を、 全 く 違 う 方 法 で 整 理 し て い る の だ。
な ぜ こ の 区 別 が 大 切 か
日 常 で わ り 算 を 使 う と き、 こ の 二 つ の 意 味 を 混 同 す る と、 答 え を 間 違 え る こ と が あ る。
例:
「20 個 の リ ン ゴ を、 5 個 入 り の 箱 で 売 り た い。 必 要 な 箱 は い く つ?」
こ れ は 包 含 除 (20 ÷ 5 = 4)。 答 え は 「4 箱」。
「30 円 の 100 円 玉 を、 5 人 で 同 額 ず つ 分 け た い。 一 人 い く ら?」
こ れ は 等 分 除 (30 ÷ 5 = 6)。 答 え は 「一 人 6 円」。
ど ち ら も わ り 算 だ が、 文 章 を 読 ん で「ど ち ら の わ り 算 か」 を 識 別 す る 力 が 大 切。
「余 り」 が あ る わ り 算
わ り 算 は、 い つ も き っ ち り 割 り 切 れ る と は 限 ら な い:
14 ÷ 3 = ?
→ 答 え は 4 余 り 2 (4 × 3 = 12、 14 − 12 = 2 が 残 る)
こ の 「余 り」 も、 二 つ の 場 面 で 違 う 意 味 を 持 つ:
| 等 分 除 | 包 含 除 | |
|---|---|---|
| 例 | 14 個 を 3 人 で 分 け る | 14 個 を 3 個 ず つ 袋 詰 め |
| 答 え | 一 人 4 個、 余 り 2 個 | 4 袋、 余 り 2 個 |
| 余 り の 意 味 | 「全 員 に 配 れ な か っ た 残 り」 | 「最 後 の 袋 に 詰 め ら れ な か っ た 数」 |
江 戸 の わ り 算 ─ 『塵 劫 記』 か ら
1627 年 の 吉 田 光 由『塵 劫 記』(本 サ イ ト sansu4/yoshida-jinkoki-kuku で 既 習) に も、 わ り 算 の 問 題 が 多 数 載 っ て い る。
例:
「米 30 俵 を、 5 人 の 武 士 に 分 け 与 え た い。 一 人 何 俵?」
→ 30 ÷ 5 = 6 俵 (等 分 除)
「米 30 俵 を、 1 俵 ず つ 馬 に 積 ん で 運 ぶ。 馬 が 6 頭 い れ ば、 何 回 で 全 部 運 べ る?」
→ 30 ÷ 6 = 5 回 (包 含 除)
江 戸 の 庶 民 も、 こ う し た わ り 算 を 寺 子 屋 で 学 ん で い た。
そ し て『塵 劫 記』 は、「等 分 除」 と 「包 含 除」 の 違 い も、 文 章 で 丁 寧 に 説 明 し て い た。
君 自 身 で わ り 算 を 作 ろ う
身 の 回 り に「わ り 算」 が で き る 場 面 を 見 つ け て み よ う:
- お や つ の チ ョ コ レ ー ト を 兄 弟 で 分 け る
- お 小 遣 い を 1 ヶ 月 (30 日) で 平 等 に 使 う
- 長 い 紙 を 何 等 分 か に 切 る
- 箱 詰 め の お 菓 子 が 何 個 で き る か 数 え る
そ れ ぞ れ、 「等 分 除」 か「包 含 除」 か、 自 分 で 判 断 し て み よ う。
わ り 算 を 「単 な る 計 算」 で は な く、 「世 界 を 整 理 す る 方 法」 と し て 捉 え ら れ る よ う に な れ ば、 君 の 算 数 の 力 は 一 気 に 上 が る。
語句の意味
各見出し語をクリックすると、外部辞書で詳しい意味を調べられます。 ※ Wiktionary について
- わ り 算 (除 法 ・ じ ょ ほ う) K 「÷」 の 記 号 を 使 う 計 算。 「12 ÷ 3 = 4」。 「12 を 3 で わ る と 4」。 小 学 校 3–4 年 で 学 ぶ。
- 等 分 除 (と う ぶ ん じ ょ) K 「等 し く 分 け る」 わ り 算。 「12 個 の あ め を 3 人 で 等 し く 分 け る と、 一 人 4 個」。 答 え の 単 位 = 「一 人 あ た り の 個 数」。
- 包 含 除 (ほ う が ん じ ょ) K 「い く つ 含 む か」 を 求 め る わ り 算。 「12 個 の あ め を 3 個 ず つ 袋 に 入 れ る と、 何 袋 で き る? → 4 袋」。 答 え の 単 位 = 「袋 (= グ ル ー プ) の 数」。
- 単 位 (た ん い) K 答 え の 後 ろ に 付 く 「個」「人」「kg」「m」 な ど。 同 じ 12 ÷ 3 で も、 「個 / 人」 か 「袋」 か で 答 え の 意 味 が 違 う。
- 商 (し ょ う) K わ り 算 の 答 え。「12 ÷ 3 = 4」 の「4」 の 部 分。「商 (し ょ う)」 と 呼 ぶ。
- 余 り (あ ま り) K わ り 切 れ な い 時 の、 残 り の 数。 「14 ÷ 3 = 4 余 り 2」。 4 が 商、 2 が 余 り。
- 塵 劫 記 (じ ん こ う き) K 1627 年 吉 田 光 由 著。 江 戸 の 庶 民 向 け 算 術 書。 本 サ イ ト sansu4/yoshida-jinkoki-kuku で 既 習。
考えてみよう
- 「12 個 の あ め を 3 人 で 分 け る」 と 「12 個 の あ め を 3 個 ず つ 袋 に 入 れ る」 ─ 答 え は ど ち ら も 「4」 だ が、 何 が 違 う で し ょ う か?
- 次 の 文 章 題 は、「等 分 除」 と 「包 含 除」 の ど ち ら で し ょ う か。 1. 18 本 の 鉛 筆 を 6 人 で 分 け る と、 一 人 何 本? 2. 18 本 の 鉛 筆 を 6 本 ず つ 束 ね る と、 何 束 で き る?
- あ な た が 普 段 「わ り 算」 を 使 う 場 面 を 3 つ 挙 げ ま し ょ う。 そ れ ぞ れ「等 分 除」 か「包 含 除」 か 判 断 し ま し ょ う。
- 「14 ÷ 3 = 4 余 り 2」 と は ど ん な 状 況 を 表 し ま す か? 自 分 で 文 章 題 を 作 っ て み ま し ょ う。
指導要領との対応
このページは、文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)」算数 第4学年の 以下の指導事項を意識して編集しています。
- 4年(A) — 整 数 の 除 法 (わ り 算) を 用 い た 計 算 が で き る
- 4年(A) — 概 念 と し て の 「等 分 除 」 と 「包 含 除 」 を 理 解 す る
※ 文部科学省告示の本文ではなく、編集者による要旨の言い換えです。 正確な指導事項は文部科学省の公式資料を参照してください。
指導案 教員向け・授業展開の例
小4 算 数 「わ り 算」 単 元 の 概 念 整 理 教 材。 「等 分 除」 と 「包 含 除」 と い う 算 数 教 育 の 重 要 概 念 を、 具 体 例 で 体 感 す る。 こ の 区 別 が、 後 の 中 学 数 学 (比 例 ・ 関 数) の 基 礎 と な る。
指導目標
- わ り 算 の 二 つ の 意 味 を 区 別 で き る
- 文 章 題 を 正 確 に 読 み 解 ける
- 答 え の 単 位 を 考 え る 習 慣
授業の流れ
- 5分 12 ÷ 3 = 4 の 二 つ の 場 面 を 提 示
- 15分 「等 分 除」 と「包 含 除」 を 図 で 理 解
- 15分 文 章 題 練 習 (10 問 程 度)
- 10分 自 分 で 文 章 題 を 作 る
発問例・議論のポイント
- わ り 算 の「単 位」 を 考 え る こ と の 大 切 さ
- 「等 分 除」 と「包 含 除」 が 異 な る と 知 ら な か っ た ら ど う な る か?
学習メモ
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出典・ライセンス
- 原文: 算数 編集部「わ り 算 (除 法) の 不 思 議 ─ 「分 け る」 と 「い く つ あ る か」」(1627年)
- 入力テキスト: 数学史 一般文献 / 吉田光由『塵劫記』 (底本:小 学 校 4 年 算 数 「わ り 算」 単 元 の 概 念 入 門 教 材。 古 代 ・ 江 戸 か ら 現 代 ま で の わ り 算 の 二 つ の 意 味 「等 分 除 」 と「包 含 除 」 を 解 説。)
- 原文の権利: パブリックドメイン
- 編集・語注・発問・解説: CC BY 4.0 © project_procopios contributors