わ り 算 (除 法) の 不 思 議 ─ 「分 け る」 と 「い く つ あ る か」 の表紙イラスト

わ り 算 (除 法) の 不 思 議 ─ 「分 け る」 と 「い く つ あ る か」

小学校 算数 第4学年 A 数 と 計 算概 念 形 成 目安 25 分

作者
算数 編集部
原作発表
1627 年(古代 ~ 現代)
出典
数学史 一般文献 / 吉田光由『塵劫記』
底本:小 学 校 4 年 算 数 「わ り 算」 単 元 の 概 念 入 門 教 材。 古 代 ・ 江 戸 か ら 現 代 ま で の わ り 算 の 二 つ の 意 味 「等 分 除 」 と「包 含 除 」 を 解 説。

学習のめあて

  • わ り 算 の 二 つ の 意 味 (等 分 除・包 含 除) を 区 別 で き る
  • 同 じ「12 ÷ 3」 で も、 文 脈 で 答 え の 「単 位」 が 違 う こ と を 理 解 す る
  • 文 章 題 を「ど ち ら の わ り 算 か」 と 識 別 で き る

本文

わ り 算 (除 法) と は

わ り 算 は、 か け 算 の 逆 の 計 算 で あ る。

12 ÷ 3 = ?
→ こ れ は、 「12 と 3 の 間 に 何 を か け れ ば 12 に な る か」 を 求 め る こ と と 同 じ。
答 え は 4 (な ぜ な ら、 3 × 4 = 12)。

同 じ「12 ÷ 3」 で も、 二 つ の 意 味 が あ る

実 は、 「12 ÷ 3」 と い う 式 は、 全 く 違 う 二 つ の 場 面 で 出 て く る:

場 面 ①: 等 分 除 (と う ぶ ん じ ょ)

「12 個 の あ め を、 3 人 で 同 じ 数 ず つ 分 け る。 一 人 何 個?」

答 え: 一 人 4 個。
こ の 場 合、 答 え の 「単 位」 は 「個 / 人」。 「一 人 あ た り の あ め の 数」 を 求 め て い る。

場 面 ②: 包 含 除 (ほ う が ん じ ょ)

「12 個 の あ め を、 3 個 ず つ 袋 に 入 れ る。 何 袋 で き る?」

答 え: 4 袋。
こ の 場 合、 答 え の 「単 位」 は 「袋」。 「12 個 の 中 に 3 個 ず つ の グ ル ー プ が い く つ 含 ま れ て い る か」 を 求 め て い る。

計 算 は 同 じ、 意 味 は 違 う

両 方 の 場 面 で、 計 算 は 「12 ÷ 3 = 4」。 同 じ 式 で あ る。
だ が、 答 え の 意 味 は 全 く 違 う:

場 面等 分 除包 含 除
問 い「一 人 何 個?」「何 袋?」
答 え4 個 / 人4 袋
単 位個 / 人袋 (= 3 個 の グ ル ー プ)
イ メ ー ジ3 つ の お 皿 に 4 個 ず つ3 個 入 り の 袋 が 4 つ

図 で 比 べ て み よ う

あ め 12 個 を、 ○ で 表 し て み よ う:

全 体: ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○

等 分 除 (3 人 で 分 け る)

人 1: ○ ○ ○ ○
人 2: ○ ○ ○ ○
人 3: ○ ○ ○ ○
→ 一 人 4 個

包 含 除 (3 個 ず つ 袋 詰 め)

袋 1: ○ ○ ○
袋 2: ○ ○ ○
袋 3: ○ ○ ○
袋 4: ○ ○ ○
→ 4 袋

こ の 二 つ は、 同 じ 個 数 12 を、 全 く 違 う 方 法 で 整 理 し て い る の だ。

な ぜ こ の 区 別 が 大 切 か

日 常 で わ り 算 を 使 う と き、 こ の 二 つ の 意 味 を 混 同 す る と、 答 え を 間 違 え る こ と が あ る。

例:

「20 個 の リ ン ゴ を、 5 個 入 り の 箱 で 売 り た い。 必 要 な 箱 は い く つ?」

こ れ は 包 含 除 (20 ÷ 5 = 4)。 答 え は 「4 箱」。

「30 円 の 100 円 玉 を、 5 人 で 同 額 ず つ 分 け た い。 一 人 い く ら?」

こ れ は 等 分 除 (30 ÷ 5 = 6)。 答 え は 「一 人 6 円」。

ど ち ら も わ り 算 だ が、 文 章 を 読 ん で「ど ち ら の わ り 算 か」 を 識 別 す る 力 が 大 切。

「余 り」 が あ る わ り 算

わ り 算 は、 い つ も き っ ち り 割 り 切 れ る と は 限 ら な い:

14 ÷ 3 = ?
→ 答 え は 4 余 り 2 (4 × 3 = 12、 14 − 12 = 2 が 残 る)

こ の 「余 り」 も、 二 つ の 場 面 で 違 う 意 味 を 持 つ:

等 分 除包 含 除
例14 個 を 3 人 で 分 け る14 個 を 3 個 ず つ 袋 詰 め
答 え一 人 4 個、 余 り 2 個4 袋、 余 り 2 個
余 り の 意 味「全 員 に 配 れ な か っ た 残 り」「最 後 の 袋 に 詰 め ら れ な か っ た 数」

江 戸 の わ り 算 ─ 『塵 劫 記』 か ら

1627 年 の 吉 田 光 由『塵 劫 記』(本 サ イ ト sansu4/yoshida-jinkoki-kuku で 既 習) に も、 わ り 算 の 問 題 が 多 数 載 っ て い る。

例:

「米 30 俵 を、 5 人 の 武 士 に 分 け 与 え た い。 一 人 何 俵?」

→ 30 ÷ 5 = 6 俵 (等 分 除)

「米 30 俵 を、 1 俵 ず つ 馬 に 積 ん で 運 ぶ。 馬 が 6 頭 い れ ば、 何 回 で 全 部 運 べ る?」

→ 30 ÷ 6 = 5 回 (包 含 除)

江 戸 の 庶 民 も、 こ う し た わ り 算 を 寺 子 屋 で 学 ん で い た。
そ し て『塵 劫 記』 は、「等 分 除」 と 「包 含 除」 の 違 い も、 文 章 で 丁 寧 に 説 明 し て い た。

君 自 身 で わ り 算 を 作 ろ う

身 の 回 り に「わ り 算」 が で き る 場 面 を 見 つ け て み よ う:

  • お や つ の チ ョ コ レ ー ト を 兄 弟 で 分 け る
  • お 小 遣 い を 1 ヶ 月 (30 日) で 平 等 に 使 う
  • 長 い 紙 を 何 等 分 か に 切 る
  • 箱 詰 め の お 菓 子 が 何 個 で き る か 数 え る

そ れ ぞ れ、 「等 分 除」 か「包 含 除」 か、 自 分 で 判 断 し て み よ う。

わ り 算 を 「単 な る 計 算」 で は な く、 「世 界 を 整 理 す る 方 法」 と し て 捉 え ら れ る よ う に な れ ば、 君 の 算 数 の 力 は 一 気 に 上 が る。

語句の意味

各見出し語をクリックすると、外部辞書で詳しい意味を調べられます。 ※ Wiktionary について

  • わ り 算 (除 法 ・ じ ょ ほ う) K 「÷」 の 記 号 を 使 う 計 算。 「12 ÷ 3 = 4」。 「12 を 3 で わ る と 4」。 小 学 校 3–4 年 で 学 ぶ。
  • 等 分 除 (と う ぶ ん じ ょ) K 「等 し く 分 け る」 わ り 算。 「12 個 の あ め を 3 人 で 等 し く 分 け る と、 一 人 4 個」。 答 え の 単 位 = 「一 人 あ た り の 個 数」。
  • 包 含 除 (ほ う が ん じ ょ) K 「い く つ 含 む か」 を 求 め る わ り 算。 「12 個 の あ め を 3 個 ず つ 袋 に 入 れ る と、 何 袋 で き る? → 4 袋」。 答 え の 単 位 = 「袋 (= グ ル ー プ) の 数」。
  • 単 位 (た ん い) K 答 え の 後 ろ に 付 く 「個」「人」「kg」「m」 な ど。 同 じ 12 ÷ 3 で も、 「個 / 人」 か 「袋」 か で 答 え の 意 味 が 違 う。
  • 商 (し ょ う) K わ り 算 の 答 え。「12 ÷ 3 = 4」 の「4」 の 部 分。「商 (し ょ う)」 と 呼 ぶ。
  • 余 り (あ ま り) K わ り 切 れ な い 時 の、 残 り の 数。 「14 ÷ 3 = 4 余 り 2」。 4 が 商、 2 が 余 り。
  • 塵 劫 記 (じ ん こ う き) K 1627 年 吉 田 光 由 著。 江 戸 の 庶 民 向 け 算 術 書。 本 サ イ ト sansu4/yoshida-jinkoki-kuku で 既 習。

考えてみよう

  1. 「12 個 の あ め を 3 人 で 分 け る」 と 「12 個 の あ め を 3 個 ず つ 袋 に 入 れ る」 ─ 答 え は ど ち ら も 「4」 だ が、 何 が 違 う で し ょ う か?
  2. 次 の 文 章 題 は、「等 分 除」 と 「包 含 除」 の ど ち ら で し ょ う か。 1. 18 本 の 鉛 筆 を 6 人 で 分 け る と、 一 人 何 本? 2. 18 本 の 鉛 筆 を 6 本 ず つ 束 ね る と、 何 束 で き る?
  3. あ な た が 普 段 「わ り 算」 を 使 う 場 面 を 3 つ 挙 げ ま し ょ う。 そ れ ぞ れ「等 分 除」 か「包 含 除」 か 判 断 し ま し ょ う。
  4. 「14 ÷ 3 = 4 余 り 2」 と は ど ん な 状 況 を 表 し ま す か? 自 分 で 文 章 題 を 作 っ て み ま し ょ う。

指導要領との対応

このページは、文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)」算数 第4学年の 以下の指導事項を意識して編集しています。

  • 4年(A) — 整 数 の 除 法 (わ り 算) を 用 い た 計 算 が で き る
  • 4年(A) — 概 念 と し て の 「等 分 除 」 と 「包 含 除 」 を 理 解 す る

※ 文部科学省告示の本文ではなく、編集者による要旨の言い換えです。 正確な指導事項は文部科学省の公式資料を参照してください。

指導案 教員向け・授業展開の例

小4 算 数 「わ り 算」 単 元 の 概 念 整 理 教 材。 「等 分 除」 と 「包 含 除」 と い う 算 数 教 育 の 重 要 概 念 を、 具 体 例 で 体 感 す る。 こ の 区 別 が、 後 の 中 学 数 学 (比 例 ・ 関 数) の 基 礎 と な る。

授業時数
1時限 (45分)
準備
わ り 算 の 視 覚 化 図 (お は じ き ・ 絵)、文 章 題 ワ ー ク シ ー ト

指導目標

  • わ り 算 の 二 つ の 意 味 を 区 別 で き る
  • 文 章 題 を 正 確 に 読 み 解 ける
  • 答 え の 単 位 を 考 え る 習 慣

授業の流れ

  1. 5分 12 ÷ 3 = 4 の 二 つ の 場 面 を 提 示
  2. 15分 「等 分 除」 と「包 含 除」 を 図 で 理 解
  3. 15分 文 章 題 練 習 (10 問 程 度)
  4. 10分 自 分 で 文 章 題 を 作 る

発問例・議論のポイント

  • わ り 算 の「単 位」 を 考 え る こ と の 大 切 さ
  • 「等 分 除」 と「包 含 除」 が 異 な る と 知 ら な か っ た ら ど う な る か?

学習メモ

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出典・ライセンス

  • 原文: 算数 編集部「わ り 算 (除 法) の 不 思 議 ─ 「分 け る」 と 「い く つ あ る か」」(1627年)
  • 入力テキスト: 数学史 一般文献 / 吉田光由『塵劫記』 (底本:小 学 校 4 年 算 数 「わ り 算」 単 元 の 概 念 入 門 教 材。 古 代 ・ 江 戸 か ら 現 代 ま で の わ り 算 の 二 つ の 意 味 「等 分 除 」 と「包 含 除 」 を 解 説。)
  • 原文の権利: パブリックドメイン
  • 編集・語注・発問・解説: CC BY 4.0 © project_procopios contributors