ハ ノ イ の 塔 ─ お も し ろ い 数 学 パ ズ ル の表紙イラスト

ハ ノ イ の 塔 ─ お も し ろ い 数 学 パ ズ ル

小学校 算数 第4学年 数 学 パ ズ ル数 列問 題 解 決 目安 25 分

作者
編集部 (Édouard Lucas の発案に基づく)(Lucas: 1842–1891)
原作発表
1883 年(19 世紀フランス (1883))
出典
編集部による教材化
底本:フ ラ ン ス の 数 学 者 エ ド ゥ ア ー ル・リ ュ カ (Édouard Lucas, 1842-1891) が 1883 年 に 発 表 し た 数 学 パ ズ ル『ハ ノ イ の 塔 (Tower of Hanoi)』。 3 本 の 柱 と 8 枚 の 円 盤 を 使 い、 「大 き な 円 盤 の 上 に 小 さ な 円 盤 を 置 く」 と い う 規 則 で 円 盤 を 別 の 柱 に 移 す パ ズ ル。 最 少 手 数 と 数 列 の 概 念 を 学 べ る 古 典 的 教 材。

学習のめあて

  • ハ ノ イ の 塔 パ ズ ル を 自 分 で 解 い て み る
  • 円 盤 数 と 手 数 の 関 係 (2 倍 + 1 の 数 列) を 発 見 す る
  • 数 学 パ ズ ル を 通 し て「問 題 解 決」 の 楽 し さ を 知 る

本文

ハ ノ イ の 塔 ─ 1883 年 か ら の パ ズ ル

1. 3 本 の 柱 と 円 盤

机 の 上 に、 3 本 の 柱 が 立 っ て い る と 想 像 し て み よ う。 名 前 を A、 B、 C と し よ う。

A の 柱 に は、 大 き さ の 違 う 円 盤 が、 大 き い も の が 下 に な っ て 重 な っ て い る。 例 え ば、 3 枚 の 円 盤 が 大 ・ 中 ・ 小 の 順 に 積 ま れ て い る と し よ う。

    A         B         C
   ===       
   ====      
  ======     
  ||         ||        ||

(=== は 円 盤、 || は 柱 を 表 す。 横 幅 が 円 盤 の 大 き さ を 示 す。)

問 題 は こ う だ。

「こ の 3 枚 の 円 盤 を、 全 部 C の 柱 に 移 し て、 元 の よ う に 重 ね な さ い」


2. 二 つ の ル ー ル

た だ し、 二 つ の ル ー ル を 守 ら な け れ ば な ら な い。

(1) 一 度 に、 一 枚 だ け 動 か せ る。 (2) 大 き な 円 盤 の 上 に、 小 さ な 円 盤 を 置 か な け れ ば な ら な い。 (大 き な 円 盤 を 小 さ な 円 盤 の 上 に 置 い て は い け な い。)


3. 3 枚 の 円 盤 を 解 い て み よ う

実 際 に や っ て み よ う。

1 手 目: A の 一 番 上 の 小 さ な 円 盤 を、 C の 柱 に 移 す。 2 手 目: A の 中 円 盤 を、 B の 柱 に 移 す。 3 手 目: C の 小 円 盤 を、 B の 柱 に 移 す (中 円 盤 の 上 に)。 4 手 目: A の 大 円 盤 を、 C の 柱 に 移 す。 5 手 目: B の 小 円 盤 を、 A の 柱 に 移 す。 6 手 目: B の 中 円 盤 を、 C の 柱 に 移 す (大 円 盤 の 上 に)。 7 手 目: A の 小 円 盤 を、 C の 柱 に 移 す (中 円 盤 の 上 に)。

完 成! 3 枚 の 円 盤 が C の 柱 に 元 通 り 積 ま れ た。 手 数 は 7 手 で あ っ た。


4. 不 思 議 な 法 則 ─ 2 倍 + 1

い く つ か の 円 盤 数 で 試 し て み る と、 次 の よ う な 表 が 得 ら れ る。

円 盤 の 数最 少 手 数
1 枚1 手
2 枚3 手
3 枚7 手
4 枚15 手
5 枚31 手
6 枚63 手
7 枚127 手
8 枚255 手

よ く 見 て み よ う。 1 → 3 → 7 → 15 → 31 → …

どこ か 不 思 議 な 法 則 が あ る よ う だ。

そ う、 「次 の 数 = 前 の 数 × 2 + 1」 で あ る!

1 × 2 + 1 = 3 3 × 2 + 1 = 7 7 × 2 + 1 = 15 15 × 2 + 1 = 31 31 × 2 + 1 = 63 …

つ ま り、 円 盤 を 1 枚 増 や す と、 手 数 は「前 の 2 倍 + 1」 に な る の だ。


5. な ぜ そ う な る の か?

理 由 は こ う で あ る。

円 盤 が n 枚 と し よ う。 こ の n 枚 を A か ら C に 移 す に は、 次 の 三 段 階 が 必 要 だ。

(1) 上 の n-1 枚 を、 一 旦 B に 移 す (= n-1 枚 を 移 す 手 数) (2) 一 番 大 き な 円 盤 を、 A か ら C に 移 す (= 1 手) (3) B に 移 し た n-1 枚 を、 C に 戻 す (= n-1 枚 を 移 す 手 数)

つ ま り、 「n 枚 の 手 数 = (n-1 枚 の 手 数) × 2 + 1」 と い う 関 係 に な る の だ。


6. 1883 年、 フ ラ ン ス の 数 学 者 リ ュ カ

こ の パ ズ ル を 発 表 し た の は、 フ ラ ン ス の 数 学 者 エ ド ゥ ア ー ル・リ ュ カ (1842-1891)。 1883 年 の こ と で あ っ た。

リ ュ カ は こ の パ ズ ル に、 一 つ の 不 思 議 な 伝 説 を 付 け 加 え た。

「ベ ト ナ ム の 古 い 寺 院 で、 64 枚 の 黄 金 の 円 盤 が ブ ラ フ マ の 創 造 以 来 僧 侶 た ち に よ っ て 動 か さ れ 続 け て い る。 全 て 移 し 終 わ っ た と き、 世 界 が 終 わ る。」

(も ち ろ ん こ れ は リ ュ カ が 考 え た お 話 で あ る。)

64 枚 の 円 盤 を 1 秒 に 1 枚 ず つ 動 か す と、 約 5,800 億 年 か か る。 こ れ は 宇 宙 の 年 齢 (138 億 年) の 約 420 倍。 つ ま り「世 界 の 終 わ り」 は、 永 遠 に 訪 れ な い ─ と い う 数 学 的 な ジ ョ ー ク に な っ て い る。


7. 自 分 で 作 っ て み よ う

ハ ノ イ の 塔 は、 紙 や 厚 紙 で 簡 単 に 作 る こ と が で き る。

  • 紙 を 切 っ て、 大 き さ の 違 う 円 を 5 つ ほ ど 作 る (大 ・ 中 大 ・ 中 ・ 中 小 ・ 小)
  • 鉛 筆 や ペ ン を 3 本 並 べ て「柱」 と す る
  • 円 を 通 す 穴 を 開 け、 重 ね る

そ し て、 3 枚 ・ 4 枚 ・ 5 枚 と 増 や し て、 手 数 を 数 え て み よ う。 7 手、 15 手、 31 手 ─ 法 則 が 本 当 か ど う か、 自 分 で 確 か め る こ と が で き る。

数 学 の 美 し さ は、 単 に 公 式 を 知 る こ と で は な い。 自 分 で 試 し て、 法 則 に「気 づ く」 こ と に あ る。 リ ュ カ が 100 年 以 上 前 に 残 し た パ ズ ル は、 今 で も 君 を そ の 喜 び に 招 い て く れ る。

語句の意味

各見出し語をクリックすると、外部辞書で詳しい意味を調べられます。 ※ Wiktionary について

  • ハ ノ イ の 塔 (Tower of Hanoi) K フ ラ ン ス の 数 学 者 エ ド ゥ ア ー ル・リ ュ カ が 1883 年 に 発 表 し た 数 学 パ ズ ル。 3 本 の 柱 (A・B・C) と、 大 き さ の 違 う 円 盤 8 枚 (大 き い 順 に 積 ま れ て い る) を 使 う。 ル ー ル は 二 つ: (1) 一 度 に 1 枚 だ け 動 か せ る、 (2) 大 き な 円 盤 の 上 に 小 さ な 円 盤 を 置 か な け れ ば な ら な い。 こ の 規 則 で、 A に 重 な っ た 円 盤 を 全 部 C に 移 す と き、 最 少 何 手 で 移 動 で き る か。
  • エ ド ゥ ア ー ル・リ ュ カ (Édouard Lucas) K 1842–1891。 フ ラ ン ス の 数 学 者。 ア ミ ア ン 生 ま れ。 リ セ・サ ン ル イ 教 授。 整 数 論・組 合 せ 論・数 学 パ ズ ル の 研 究 で 知 ら れ る。 ハ ノ イ の 塔 (1883)、 リ ュ カ 数 列 (フ ィ ボ ナ ッ チ 数 列 の 親 戚)、 メ ル セ ン ヌ 素 数 判 定 法 (リ ュ カ・テ ス ト) 等 の 業 績。 1891 年、 数 学 会 の 晩 餐 会 で 皿 が 倒 れ た 際 の 怪 我 が 元 で 49 歳 の 若 さ で 没 し た。
  • 「ハ ノ イ」 と い う 名 前 K リ ュ カ が こ の パ ズ ル を 1883 年 発 売 し た と き、 「ベ ト ナ ム・ハ ノ イ の 古 い 寺 院 で、 64 枚 の 黄 金 の 円 盤 を ブ ラ フ マ の 創 造 以 来 僧 侶 た ち が 移 動 さ せ 続 け、 全 て 移 動 し 終 わ る と 世 界 が 終 わ る」 と い う 伝 説 を 付 け 加 え た。 こ れ が「ハ ノ イ の 塔」 と い う 名 前 の 由 来。 (も ち ろ ん こ の 伝 説 は リ ュ カ の 創 作 で あ る。)
  • 円 盤 数 と 最 少 手 数 K ハ ノ イ の 塔 の 美 し い 法 則。 円 盤 が n 枚 の と き の 最 少 手 数 は 2ⁿ - 1。 1 枚 → 1 手、 2 枚 → 3 手、 3 枚 → 7 手、 4 枚 → 15 手、 5 枚 → 31 手、 …、 8 枚 → 255 手。 円 盤 を 1 枚 増 や す と 手 数 は「前 の 2 倍 + 1」 に な る。
  • 2 の べ き 乗 (2ⁿ) K 2 を n 回 掛 け た 値。 2¹=2, 2²=4, 2³=8, 2⁴=16, 2⁵=32, 2⁶=64, 2⁷=128, 2⁸=256。 コ ン ピ ュ ー タ の 容 量・色 数 等、 現 代 で 頻 繁 に 登 場 す る 数 列。 ハ ノ イ の 塔 の 手 数「2ⁿ-1」 と 1 だ け 違 う。
  • 64 枚 の 円 盤 ─ 伝 説 の 計 算 K リ ュ カ の 伝 説 に 出 て く る「64 枚 の 黄 金 の 円 盤」 を 1 秒 に 1 枚 ず つ 動 か す と、 ど の く ら い 時 間 が か か る か。 2⁶⁴ - 1 ≒ 1.8 × 10¹⁹ 手。 1 秒 で 1 手 と し て も、 約 5,800 億 年 か か る。 こ れ は 宇 宙 の 年 齢 (約 138 億 年) の 420 倍。 つ ま り、 伝 説 の「世 界 の 終 わ り」 ま で は、 ど れ だ け 急 い で も 宇 宙 の 何 倍 も の 時 間 が 必 要、 と い う 数 学 的 ジ ョ ー ク。
  • 再 帰 (さ い き、 recursion) の 考 え 方 K ハ ノ イ の 塔 の 解 き 方 は、 「n 枚 の 円 盤 を 移 す = n-1 枚 を 一 旦 別 の 柱 に 移 し、 最 大 円 盤 を 目 的 の 柱 に 移 し、 そ し て n-1 枚 を そ の 上 に 戻 す」 と い う 形 で、 自 分 自 身 (n-1 枚 を 移 す) を 参 照 す る。 こ れ は コ ン ピ ュ ー タ・サ イ エ ン ス で「再 帰」 と 呼 ば れ る 重 要 な 考 え 方。 小 さ な 問 題 に 分 解 し て 解 く と い う 思 考 法。

考えてみよう

  1. 3 枚 の 円 盤 を、 ハ ノ イ の 塔 の 規 則 で 別 の 柱 に 移 す に は、 最 少 何 手 必 要 で す か? (答 え: 7 手)
  2. 円 盤 n 枚 の と き の 手 数 は「2ⁿ - 1」 で す。 n=1, 2, 3, 4, 5 で 手 数 を 計 算 し て み ま し ょ う。
  3. 「64 枚 の 円 盤 を 1 秒 ご と に 1 枚 動 か す と、 完 成 ま で 約 5,800 億 年」 と い う 計 算 か ら、 数 学 の「指 数 的 増 加」 の 不 思 議 さ を 自 分 の 言 葉 で 説 明 し て み ま し ょ う。

指導要領との対応

このページは、文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)」算数 第4学年の 以下の指導事項を意識して編集しています。

  • 小学校算数 第4学年 — D. デ ー タ の 活 用 / A. 数 と 計 算

※ 文部科学省告示の本文ではなく、編集者による要旨の言い換えです。 正確な指導事項は文部科学省の公式資料を参照してください。

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出典・ライセンス

  • 原文: 編集部 (Édouard Lucas の発案に基づく)「ハ ノ イ の 塔 ─ お も し ろ い 数 学 パ ズ ル」(1883年)
  • 入力テキスト: 編集部による教材化 (底本:フ ラ ン ス の 数 学 者 エ ド ゥ ア ー ル・リ ュ カ (Édouard Lucas, 1842-1891) が 1883 年 に 発 表 し た 数 学 パ ズ ル『ハ ノ イ の 塔 (Tower of Hanoi)』。 3 本 の 柱 と 8 枚 の 円 盤 を 使 い、 「大 き な 円 盤 の 上 に 小 さ な 円 盤 を 置 く」 と い う 規 則 で 円 盤 を 別 の 柱 に 移 す パ ズ ル。 最 少 手 数 と 数 列 の 概 念 を 学 べ る 古 典 的 教 材。)
  • 原文の権利: パブリックドメイン
  • 編集・語注・発問・解説: CC BY 4.0 © project_procopios contributors