10 歳 の ガ ウ ス と 等 差 数 列 ─ 1+2+3+…+100 を 一 瞬 で 解 い た 少 年 の表紙イラスト

10 歳 の ガ ウ ス と 等 差 数 列 ─ 1+2+3+…+100 を 一 瞬 で 解 い た 少 年

中学校 数学 第2学年 等 差 数 列数 学 史問 題 解 決 目安 25 分

作者
編集部 (カール・フリードリヒ・ガウスの逸話に基づく)(ガ ウ ス: 1777–1855)
原作発表
1787 年(18世紀末ドイツ (1787頃))
出典
ガウス伝記・編集部による教材化
底本:ド イ ツ の 数 学 者 カ ー ル・フ リ ー ド リ ヒ・ガ ウ ス (Carl Friedrich Gauss, 1777-1855) の 少 年 時 代 の 逸 話 と し て、 弟 子 サ ル ト リ ウ ス・フ ォ ン・ヴ ァ ル タ ー シ ャ ウ ゼ ン の『ガ ウ ス 追 想 記』 (1856) で 伝 え ら れ る 有 名 な エ ピ ソ ー ド。 10 歳 の ガ ウ ス が 1+2+3+…+100 を 一 瞬 で 計 算 し た 物 語 を、 中 2 数 学「等 差 数 列 と 和」 の 単 元 で 学 ぶ。

学習のめあて

  • ガ ウ ス の 逸 話 と 等 差 数 列 の 和 の 公 式 を 理 解 す る
  • 「ペ ア に 分 け る」 と い う 数 学 的 発 想 を 学 ぶ
  • 数 学 が「計 算 力」 だ け で な く「発 想 の 飛 躍」 で あ る こ と を 知 る

本文

10 歳 の 天 才 と 1+2+…+100

1. ブ ラ ウ ン シ ュ ヴ ァ イ ク の 小 学 校 ─ 1787 年

時 は 1787 年、 ド イ ツ 北 部 の 街・ブ ラ ウ ン シ ュ ヴ ァ イ ク。 9 月 の あ る 日、 地 元 の 小 学 校 で 算 数 の 授 業 が 始 ま っ て い た。

教 師 の ビ ュ ッ ト ナ ー 先 生 は、 い つ も の よ う に 生 徒 た ち に 厳 し い 課 題 を 出 し た。 い や、 実 は 厳 し い と い う よ り、 生 徒 た ち を し ば ら く 静 か に さ せ る た め の 「時 間 つ ぶ し」 課 題 で あ っ た。

「い い か、 今 か ら こ の 問 題 を 解 け。 解 き 終 わ っ た ら 静 か に 待 て。」

そ し て、 黒 板 に こ う 書 い た。

1 + 2 + 3 + … + 99 + 100 = ?

生 徒 た ち は、 紙 と 鉛 筆 を 取 り 出 し、 黙 々 と 計 算 を 始 め た。 1 + 2 = 3、 3 + 3 = 6、 6 + 4 = 10、 … こ の ペ ー ス で い く と、 全 部 で 99 回 の 足 し 算 を し な け れ ば な ら な い。 30 分 は か か る だ ろ う。


2. 数 秒 後 ─ ガ ウ ス の 答 え

し か し、 教 室 の 一 番 後 ろ の 席 に い た 10 歳 の カ ー ル・ガ ウ ス は、 数 秒 だ け 黒 板 を 見 つ め、 そ し て 自 分 の 石 板 に 何 か を 書 き、 そ れ を 教 卓 の 上 に そ っ と 置 い た。

「先 生、 で き ま し た」

ビ ュ ッ ト ナ ー 先 生 は 信 じ ら れ な か っ た。 が、 ガ ウ ス の 石 板 を 見 る と、 そ こ に は こ う 書 い て あ っ た。

5050

正 解 で あ っ た。


3. ガ ウ ス は ど う や っ て 解 い た の か

ガ ウ ス は、 普 通 の 子 ど も の よ う に 「1+2+3+…」 と 順 に 足 し て い っ た わ け で は な か っ た。 彼 は、 次 の よ う に 考 え た の で あ る。

数 を 並 べ て み る。

1 + 2 + 3 + 4 + … + 97 + 98 + 99 + 100

両 端 か ら ペ ア を つ く る。 1 と 100 を ペ ア、 2 と 99 を ペ ア、 3 と 98 を ペ ア、 …、 50 と 51 を ペ ア。

1 + 100 = 101 2 + 99 = 101 3 + 98 = 101 … 50 + 51 = 101

ど の ペ ア の 和 も、 全 部 101。 そ し て、 ペ ア は 全 部 で 50 個 あ る。 し た が っ て、

101 × 50 = 5050

答 え は 5050 で あ る。 30 分 の 足 し 算 が、 こ の「ペ ア に 分 け る」 と い う 一 つ の 発 想 で、 一 個 の 掛 け 算 に な っ た の だ。


4. 等 差 数 列 の 和 の 公 式

ガ ウ ス が 直 観 で 見 抜 い た こ の 発 想 は、 後 に「等 差 数 列 の 和 の 公 式」 と し て 数 学 に 取 り 込 ま れ た。

初 項 a、 末 項 l、 項 数 n の 等 差 数 列 (例 え ば 1, 2, 3, …, 100 の よ う な、 隣 り 同 士 の 差 が 一 定 の 数 列) の 和 を S_n と す る と、

S_n = n × (a + l) ÷ 2

つ ま り「ペ ア の 和 (a + l)」 ×「ペ ア の 個 数 (n ÷ 2)」 で あ る。

1+2+…+100 に 当 て は め る と、

S_100 = 100 × (1 + 100) ÷ 2 = 100 × 101 ÷ 2 = 5050

確 か に 5050 で あ る。


5. 「発 想 の 飛 躍」 と し て の 数 学

こ の 逸 話 が、 200 年 以 上 経 っ た 今 も 語 り 継 が れ る の は、 そ れ が 数 学 の 本 質 を 示 し て い る か ら で あ る。

数 学 と は、 計 算 力 だ け の 問 題 で は な い。 「ど う 見 れ ば、 問 題 が 簡 単 に な る か」 と い う、 発 想 の 飛 躍 こ そ が 数 学 の 真 髄 で あ る。

10 歳 の ガ ウ ス は、 99 回 の 足 し 算 を 数 学 的 な 視 線 で 眺 め 直 し、 そ こ に「対 称 性」 を 見 出 し た。 こ の「対 称 性 に 気 づ く」 と い う 発 想 は、 後 に ガ ウ ス が 19 世 紀 数 学 を 一 人 で 半 世 紀 リ ー ド し、「数 学 王」 と 呼 ば れ る こ と に な る 才 能 の 原 点 で あ っ た。


6. 練 習 問 題

(1) 1+2+3+…+50 を、 ガ ウ ス の 方 法 で 計 算 し な さ い。 ヒ ン ト: ペ ア の 和 は (1+50)、 ペ ア の 個 数 は 50÷2 = 25 個。 答 え: 51 × 25 = 1275

(2) 5+10+15+…+100 を 計 算 し な さ い。 (5 か ら 100 ま で、 5 ご と に 飛 ぶ 等 差 数 列) 初 項 5、 末 項 100、 項 数 20。 S_20 = 20 × (5+100) ÷ 2 = 20 × 105 ÷ 2 = 1050

(3) 1 か ら 1000 ま で の 自 然 数 の 総 和 を 求 め な さ い。 S_1000 = 1000 × (1+1000) ÷ 2 = 1000 × 1001 ÷ 2 = 500,500

10 歳 の ガ ウ ス は、 こ れ ら も、 数 秒 で 解 い た だ ろ う。

語句の意味

各見出し語をクリックすると、外部辞書で詳しい意味を調べられます。 ※ Wiktionary について

  • カ ー ル・フ リ ー ド リ ヒ・ガ ウ ス (Carl Friedrich Gauss) K 1777–1855。 ド イ ツ・ブ ラ ウ ン シ ュ ヴ ァ イ ク の 貧 し い 煉 瓦 職 人 の 家 に 生 ま れ た 数 学 者。 19 世 紀 数 学 を 切 り 開 い た「最 後 の 万 能 数 学 者」 と さ れ る。 整 数 論・代 数 学・天 文 学・電 磁 気 学 で 革 命 的 業 績。 ゲ ッ テ ィ ン ゲ ン 天 文 台 長。 「数 学 王 (Princeps Mathematicorum)」 と 後 世 に 呼 ば れ る。 ガ ウ ス 分 布 (正 規 分 布)、 ガ ウ ス の 法 則 (電 磁 気 学) な ど 業 績 多 数。
  • 等 差 数 列 (と う さ す う れ つ、 Arithmetic Progression) K 隣 り 合 う 項 の 差 が 一 定 の 数 列。 「1, 2, 3, 4, …」 (公 差 1) や 「2, 5, 8, 11, …」 (公 差 3)。 第 n 項 の 値 a_n と、 第 1 項 か ら 第 n 項 ま で の 和 S_n に は 公 式 が あ る。
  • 等 差 数 列 の 和 の 公 式 K 「初 項 a, 末 項 l, 項 数 n の 等 差 数 列 の 和 S_n は、 S_n = n × (a + l) ÷ 2」。 す な わ ち、 「ペ ア の 和 (a+l) × ペ ア の 個 数 (n/2)」。 10 歳 の ガ ウ ス が 直 観 で 見 抜 い た「ペ ア に 分 け る」 ア イ デ ア が 公 式 化 さ れ た も の。
  • ペ ア に 分 け る 発 想 K 1+2+…+100 を 解 く と き、 端 と 端 を ペ ア に す る。 (1+100) + (2+99) + (3+98) + … + (50+51)。 ど の ペ ア も 101。 ペ ア は 50 個。 し た が っ て 答 え は 101 × 50 = 5050。 こ の「対 称 性 に 着 目 す る」 発 想 は、 高 校・大 学 数 学 で も「展 開・対 称 性・置 換」 な ど あ ら ゆ る 場 面 で 使 わ れ る。
  • 1787 年 の 小 学 校 の 逸 話 K 10 歳 の ガ ウ ス が 通 っ て い た ド イ ツ・ブ ラ ウ ン シ ュ ヴ ァ イ ク の 小 学 校 で、 教 師 ビ ュ ッ ト ナ ー が「1 か ら 100 ま で を 全 部 足 す」 と い う 課 題 を 与 え た。 生 徒 を し ば ら く 静 か に さ せ る た め の 「時 間 つ ぶ し」 課 題 で あ っ た が、 ガ ウ ス は 黒 板 に 数 秒 で「5050」 と 答 え を 書 い た。 教 師 は 驚 き、 以 降 ガ ウ ス を 特 別 に 教 育 し た。 弟 子 サ ル ト リ ウ ス『ガ ウ ス 追 想 記』 (1856) で 紹 介 さ れ た。
  • 数 学 王 ─ プ リ ン ケ プ ス・マ テ マ テ ィ コ ル ム (Princeps Mathematicorum) K 「数 学 者 の 君 主 ・ 王 子」 の 意 の ラ テ ン 語。 ガ ウ ス の 死 後、 ハ ノ ー フ ァ ー 王 ゲ オ ル ク 5 世 が ガ ウ ス の 顕 彰 メ ダ ル に 刻 印。 19 世 紀 ヨ ー ロ ッ パ 数 学 を 一 人 で 半 世 紀 リ ー ド し た ガ ウ ス へ の 最 大 級 の 称 号。 同 様 に「アル キ メ デ ス」「ニ ュ ー ト ン」 と 並 ぶ 三 大 数 学 者 と 評 さ れ る こ と も あ る。

考えてみよう

  1. 10 歳 の ガ ウ ス が 1+2+…+100 を 解 い た「ペ ア に 分 け る」 発 想 を、 自 分 の 言 葉 で 説 明 し て み ま し ょ う。
  2. 1+2+…+50 を、 ガ ウ ス の 方 法 で 計 算 し て み ま し ょ う。 (答 え は 1275)
  3. 「公 式 を 暗 記 す る」 と「公 式 を 発 想 す る」 の 違 い は ど こ に あ る で し ょ う か? ガ ウ ス の 逸 話 を 例 に 考 え て み ま し ょ う。

指導要領との対応

このページは、文部科学省「中学校学習指導要領(平成29年告示)」数学 第2学年の 以下の指導事項を意識して編集しています。

  • 中学数学 第2学年 — A. 数 と 式 ─ 一 次 式 の 計 算 ・ 文 字 を 用 い た 数 量 関 係
  • 高校数学B — 数 列 ─ 等 差 数 列・等 比 数 列・∑

※ 文部科学省告示の本文ではなく、編集者による要旨の言い換えです。 正確な指導事項は文部科学省の公式資料を参照してください。

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出典・ライセンス

  • 原文: 編集部 (カール・フリードリヒ・ガウスの逸話に基づく)「10 歳 の ガ ウ ス と 等 差 数 列 ─ 1+2+3+…+100 を 一 瞬 で 解 い た 少 年」(1787年)
  • 入力テキスト: ガウス伝記・編集部による教材化 (底本:ド イ ツ の 数 学 者 カ ー ル・フ リ ー ド リ ヒ・ガ ウ ス (Carl Friedrich Gauss, 1777-1855) の 少 年 時 代 の 逸 話 と し て、 弟 子 サ ル ト リ ウ ス・フ ォ ン・ヴ ァ ル タ ー シ ャ ウ ゼ ン の『ガ ウ ス 追 想 記』 (1856) で 伝 え ら れ る 有 名 な エ ピ ソ ー ド。 10 歳 の ガ ウ ス が 1+2+3+…+100 を 一 瞬 で 計 算 し た 物 語 を、 中 2 数 学「等 差 数 列 と 和」 の 単 元 で 学 ぶ。)
  • 原文の権利: パブリックドメイン
  • 編集・語注・発問・解説: CC BY 4.0 © project_procopios contributors