デ カ ル ト と 座 標 ─ 一 次 関 数 の 始 ま り
中学校 数学 第2学年 古典 C 関 数数 学 史代 数 と 幾 何 の 統 一 目安 25 分
学習のめあて
- デ カ ル ト 座 標 の 発 明 を 知 る
- 「代 数 と 幾 何 の 統 一」 と い う 大 革 命 を 理 解 す る
- 一 次 関 数 y = ax + b の 意 味 を 体 感 す る
本文
座 標 と は 何 か
平 面 (例 え ば 教 室 の 黒 板 や 紙) の 上 で、 ど こ か の 点 の 位 置 を 表 し た い と し よ う。
中 学 で 習 う 方 法 は こ う だ ─
平 面 に 「x 軸 (横)」 と 「y 軸 (縦)」 を 引 き、 そ の 交 点 を 「原 点 (O)」 と す る。
そ し て、 任 意 の 点 を 「(x, y)」 と い う 二 つ の 数 で 表 す。
例: 「原 点 か ら 右 へ 3、 上 へ 2」 の 点 = (3, 2)
こ の 方 法 を、 中 学 生 の 君 は 当 た り 前 の よ う に 使 う。
だ が、 こ の「座 標」 は、 人 類 が 1637 年 に 一 人 の フ ラ ン ス 人 哲 学 者 か ら 贈 ら れ た 革 命 的 発 明 で あ る。
ル ネ・デ カ ル ト ─ 「我 思 う、 ゆ え に 我 あ り」
そ の フ ラ ン ス 人 哲 学 者 と は ─ ル ネ・デ カ ル ト (René Descartes, 1596–1650)。
彼 は 「我 思 う、 ゆ え に 我 あ り」 (Cogito, ergo sum) と い う 言 葉 で 有 名 な、 近 代 哲 学 の 父 で あ る。
だ が、 彼 は 同 時 に 第 一 級 の 数 学 者 で も あ っ た。
1637 年、 デ カ ル ト は『方 法 序 説』 と い う 哲 学 書 を 出 版 し た。 そ の 付 録 と し て『幾 何 学』 が 付 い て い た。
こ の 『幾 何 学』 の 中 で、 彼 は 「座 標 系」 を 体 系 化 し、 数 学 史 を 永 遠 に 変 え た。
「代 数 と 幾 何 の 統 一」 と い う 大 革 命
デ カ ル ト 以 前、 数 学 は 二 つ の 「別 々 の 世 界」 に 分 か れ て い た。
| 世 界 | 扱 う も の | 例 |
|---|---|---|
| 代 数 (al-jabr) | 式・数 を 扱 う | x + 5 = 10、 x² = 4 |
| 幾 何 (geometry) | 図 形 を 扱 う | 直 線、 円、 三 角 形 |
古 代 ギ リ シ ア か ら 中 世 ま で、 こ の 二 つ は 「別 の 学 問」 だ っ た。
ピ タ ゴ ラ ス の 定 理 (本 サ イ ト) は 幾 何 学。 ヴ ィ エ ー タ の 文 字 式 (本 サ イ ト chugakusugaku1) は 代 数。 別 の 道 具 を 使 い、 別 の 方 法 で 問 題 を 解 い て い た。
デ カ ル ト は、 座 標 系 を 使 う こ と で、 こ の 二 つ を 同 じ も の と し て 扱 え る よ う に し た:
- 直 線 ─ y = ax + b と い う 一 次 式 で 表 せ る
- 円 ─ x² + y² = r² と い う 二 次 式 で 表 せ る
- 放 物 線 ─ y = x² と い う 二 次 式 で 表 せ る
「図 形 = 式」「式 = 図 形」 ─ こ の 一 元 化 が、 数 学 を 一 気 に 強 力 に し た。
一 次 関 数 y = ax + b
中 2 数 学 で 学 ぶ 「一 次 関 数」 ─ y = ax + b ─ は、 デ カ ル ト の 座 標 系 の 上 で 直 接 「直 線」 と し て 可 視 化 で き る。
具 体 例 で 見 て み よ う:
- y = x ─ 原 点 を 通 り、 右 上 が り の 直 線 (傾 き 1)
- y = 2x ─ 原 点 を 通 り、 急 な 直 線 (傾 き 2)
- y = 2x + 3 ─ y 切 片 が 3、 傾 き が 2 の 直 線
- y = -x + 5 ─ y 切 片 が 5、 右 下 が り の 直 線
こ う し て、 数 式 を 見 れ ば 直 線 の 様 子 が 想 像 で き、 直 線 を 見 れ ば 数 式 が わ か る ─ こ れ が デ カ ル ト の 革 命 で あ る。
デ カ ル ト 以 降 の 数 学
デ カ ル ト の 座 標 系 (1637) が 出 て か ら、 ヨ ー ロ ッ パ の 数 学 は 急 速 に 発 展 し た:
- 1666 ─ ニ ュ ー ト ン、 微 分 積 分 学 を 発 明
- 1684 ─ ラ イ プ ニ ッ ツ、 微 分 積 分 学 を 独 立 発 表
- 1748 ─ オ イ ラ ー『無 限 解 析』
- 19 世 紀 ─ 関 数 論・ベ ク ト ル 解 析・線 形 代 数 の 発 展
こ れ ら す べ て の 礎 が、 デ カ ル ト の 座 標 系 で あ る。
身 の 回 り の 座 標
2026 年 の 君 の 周 り に は、 デ カ ル ト 座 標 が 至 る と こ ろ に 隠 れ て い る:
- GPS ─ 経 度 と 緯 度 で 位 置 を 表 す ─ こ れ は 球 面 座 標 (デ カ ル ト の 拡 張)
- 地 図 ア プ リ ─ 画 面 上 の 場 所 を (x, y) で 管 理
- ゲ ー ム の 画 面 ─ キ ャ ラ ク タ ー の 位 置 を (x, y) で 表 現
- エ ク セ ル の セ ル ─ A1、 B3 と い う「列・行」 は 座 標 と 同 じ
中 2 で 君 が 学 ぶ 一 次 関 数 ─ そ の 背 後 に は、 1637 年 の フ ラ ン ス の 哲 学 者 が 開 い た、 数 学 史 上 最 大 級 の 革 命 が あ る。
「図 形 と 数 式 が 同 じ も の」 ─ こ の 不 思 議 で 美 し い 真 理 を、 こ れ か ら 何 度 も 体 験 し て い く こ と に な る だ ろ う。
語句の意味
各見出し語をクリックすると、外部辞書で詳しい意味を調べられます。 ※ Wiktionary について
- ル ネ ・ デ カ ル ト (René Descartes) K 1596–1650。 フ ラ ン ス の 哲 学 者・数 学 者。 近 代 哲 学 の 父。 「我 思 う、 ゆ え に 我 あ り」 (Cogito, ergo sum) で 有 名。 数 学 で は 「デ カ ル ト 座 標 系」 を 確 立 し、 近 代 数 学 の 礎 を 築 い た。
- 方 法 序 説 (Discours de la méthode) K デ カ ル ト が 1637 年 に 出 版 し た 哲 学 書。 そ の 付 録 と し て 『幾 何 学』『屈 折 光 学』『気 象 学』 が 付 い て い た。 数 学 史 上 革 命 的 だ っ た の は『幾 何 学』 で あ る。
- デ カ ル ト 座 標 (し ゃ こ う ざ ひ ょ う ・ Cartesian coordinates) K 平 面 上 の 任 意 の 点 を、 (x, y) と い う 二 つ の 数 で 表 す 方 法。 中 学 数 学 で 当 然 の よ う に 使 う「座 標」 が こ れ。 1637 年 に デ カ ル ト が 確 立 し、 数 学 を 革 命 的 に 変 え た。
- 一 次 関 数 (い ち じ か ん す う) K y = ax + b の 形 で 表 さ れ る 関 数。 グ ラ フ は 直 線 に な る。 a は 「傾 き (か た む き)」、 b は 「y 切 片 (せ っ ぺ ん)」。 中 2 数 学 の 中 心 単 元。
- 関 数 (か ん す う) K x が 一 つ 決 ま る と、 y が 一 つ に 定 ま る 対 応 関 係。 「x が 入 力、 y が 出 力」 の 機 械 の よ う な も の。 中 1 で「比 例・反 比 例」、 中 2 で「一 次 関 数」、 中 3 で「二 次 関 数 (y = ax²)」 を 学 ぶ。
- 代 数 と 幾 何 の 統 一 K デ カ ル ト 以 前、 「代 数 (式 の 世 界)」 と「幾 何 (図 形 の 世 界)」 は 別 々 の 数 学 だ っ た。 デ カ ル ト の 座 標 系 に よ っ て、 「直 線 = 一 次 式」「円 = 二 次 式」 と 結 び つ き、 二 つ の 世 界 が 統 一 さ れ た。 数 学 史 上 最 大 級 の 革 命。
考えてみよう
- 「座 標 (x, y)」 を 使 っ て、 自 分 の 机 の 上 の も の の 位 置 を 表 し て み ま し ょ う。
- 「直 線」 と 「y = 2x + 1」 と い う 数 式 が、 同 じ も の だ と 知 っ た 時 の 驚 き を 想 像 し て み ま し ょ う。
- デ カ ル ト が「代 数」 と「幾 何」 を 結 び つ け た こ と は、 な ぜ「革 命」 と 呼 ば れ る の で し ょ う か?
- あ な た の 身 の 回 り で「座 標」 が 使 わ れ て い る 場 面 を 3 つ 挙 げ て み ま し ょ う。
指導要領との対応
このページは、文部科学省「中学校学習指導要領(平成29年告示)」数学 第2学年の 以下の指導事項を意識して編集しています。
- 中2数学(C) — 一 次 関 数 ─ 関 数 と グ ラ フ
※ 文部科学省告示の本文ではなく、編集者による要旨の言い換えです。 正確な指導事項は文部科学省の公式資料を参照してください。
指導案 教員向け・授業展開の例
中2 数 学 で 「一 次 関 数」 単 元 と 接 続。 中 2 数 学 の 中 心 概 念「関 数 と グ ラ フ」 の 源 流 と し て、 デ カ ル ト 座 標 を 紹 介。 「代 数 と 幾 何 の 統 一」 と い う 数 学 史 上 の 大 革 命 を 通 し て、 関 数 と い う 概 念 の 深 さ を 体 感 す る。
指導目標
- 座 標 系 を 理 解 す る
- 一 次 関 数 と 直 線 の 関 係 を 把 握 す る
- デ カ ル ト の 業 績 を 知 る
授業の流れ
- 10分 座 標 を 使 っ て 点 を 描 く 練 習
- 15分 一 次 関 数 y = ax + b の グ ラ フ
- 15分 デ カ ル ト の 業 績 と 数 学 革 命 を 紹 介
- 5分 振 り 返 り
発問例・議論のポイント
- 「代 数 と 幾 何 の 統 一」 が も た ら し た 変 化
- デ カ ル ト 以 前 と 以 後 の 数 学 の 違 い
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出典・ライセンス
- 原文: 数学史 編集部「デ カ ル ト と 座 標 ─ 一 次 関 数 の 始 ま り」(1637年)
- 入力テキスト: 数学史 各種 文献 / デカルト『方法序説』(1637) (底本:ル ネ・デ カ ル ト (1596–1650) が 『方 法 序 説』(1637) の 付 録 『幾 何 学』 で 確 立 し た 座 標 系 (デ カ ル ト 座 標)。 一 次 関 数 と グ ラ フ の 世 界 の 出 発 点 と な っ た 革 命 的 発 明。)
- 原文の権利: パブリックドメイン
- 編集・語注・発問・解説: CC BY 4.0 © project_procopios contributors